中古アパートには問題が発生することがあります。

本稿は、一部の部屋の窓サッシが開閉できなくなってしまった事例に関して取材しました。

問題の発見・診断・改修見積

Aさんは、取得したアパートの内装の修繕を終えて、管理会社の担当者と募集の準備打ち合わせをしていました。
風通しを良くしようと窓を開けていましたが、打ち合わせ終了後に閉めようとしても閉まりませんでした。
どうやら、取得時から不具合が発生していた可能性が高いと思われました。

業者の方に診ていただいた結果、サッシ枠の歪みによってサッシの開閉が困難になったようです。

スマートカバー工法という工法で、サッシ枠とサッシを交換する見積をいただきました。

瑕疵担保責任に関する検討

売買契約には責任規定があり、証拠資料作成前に改修を実施

今回の売主様は宅建業者であったので、売買契約に瑕疵担保責任が規定されています。
しかし、この事例が適用対象なのか、対象だとしたらどんな証跡を揃えるべきなのか、非常に悩ましいのです。

この時点でインスペクションを入れる選択肢はあったと思います。
しかし、今回は、早期募集を最優先して、すぐに改修工事に着手しました。

「建物の傾斜」に関する情報は入手できた

Aさんは、当然、売買仲介をしていただいた業者様に支援を依頼しました。
建物傾斜に関する関連情報を提供していただけたのですが、当事例とは少し前提条件が違います。

そこで、自分でも調査をしてみましたが、ネット上ではサッシ開閉不良に関する類似事例が見つかりませんでした。

建物の傾斜に関しては、不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター)の「建物の傾斜による瑕疵担保責任の有無の判断とその対応の是非」[Link]という記事が判例を掲載しています(東京地判平成19年4月6日)。

一般に、1,000分の5の傾斜角で壁と柱の間に隙間が生じ、壁やタイルにきれつが入る。窓・額縁や出入口枠の接合部に隙間が生じ、犬走りやブロック塀など外部構造的に被害が生じるとされ、1,000分の10の傾斜角では柱が傾き、建具の開閉が不良となる、使用困難であるとされており

また、品確法(※1)では次のように基準が定められています。
(測定距離は、床の場合は3m程度以上、柱の場合は2m程度以上の場合)

<3/1000未満の勾配の傾斜>
構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性が低い。

<3/1000以上6/1000未満の勾配の傾斜>
構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性が一定程度存する。

<6/1000以上の勾配の傾斜>
構造耐力上主要な部分に瑕疵が存する可能性が高い。

その後