アパート経営をしていると、多種多様な支出があります。
バカ正直に「いつもニコニコ現金払い」をする前に、ひと工夫を考えてはどうでしょうか。
本稿では、キャッシュフロー改善のための経営努力を網羅的に紹介します。
キャッシュフロー改善施策の5つの類型
キャッシュフロー改善には以下5つの方法があります(6項目ありますが最後は「対策しない」なのでカウントしていません)。
- (A)支出そのものを回避する
- (B)財物やサービスの利用量(税金等は賦課対象額)を減らす
- (C)単価(税金等は賦課率)を下げる
- (D)支払時期を遅らせる
- (E)保険等の契約で備える
- (Z)対策しない
直接経費のキャッシュフロー改善施策
修繕費・消耗品費
- (A)外壁塗装やクラック処理を適時に実施して、雨漏り等の深刻な破損を回避する
- (A)ガス会社から設備の無償貸与を受ける[関連記事]
- (C)低価格で設備を調達する(カカクコムや家電量販店などを駆使する)
- (D)改修工事代金の支払を借入する(銀行または信販会社を利用して10-15年の長期分割払いとする)
- (D)消耗品購入時にクレジットカードのボーナス一括払いを活用する
- (D)一括で費用処理できる項目(特に外構・内装工事など)は資産計上しない
電気代
- (B)共用灯をLEDに変更する
- (B)老朽化した設備(給水ポンプや浄化槽ブロアー)を新品に交換する
- (B)電灯契約の契約容量引き下げ[関連記事]
- (B)動力契約の力率見直し・契約kW数引き下げ[関連記事]
- (C)電力会社の(ENEOSでんきなど)への切替
水道料金(家主負担)と水道維持費
- (A)長期運用の場合は下水道への接続工事を行って浄化槽の維持管理費を削減する
- (B)節水コマの利用を検討する
外注管理費(管理委託費)
- (C)料率引き下げ交渉(委託戸数が多い場合や都心で賃料単価が高い場合には可能)
外注管理費(共用部清掃費)
- (B)雑草が伸びないような処置をする(除草剤&防草シート&砕石散布、コンクリ舗装など)
- (C)定期清掃・雑草除去等をシルバー人材センターに委託する
固定資産税・都市計画税
- (D)口座振替による4回分割払いを選択する
損害保険料
- (B)適正な保険金額を設定する(建物を解体して更地売却する場合の損失額が目安)
- (D)長期保険料の支払額を借入でまかなう(物件取得時に可能になることがある)
- (D)現預金から払う場合は、長期契約を回避して毎年払いにする
広告宣伝費(フリーレント含む)
- (E)フリーレント設定時は、短期間退去の違約金を契約に規定して損害に備える(同時に長期入居を促す)。
- (Z)入居促進費には手を付けない。売上に直結するため。
減価償却費
- (D)建物比率が高い物件を取得して減価償却を活用し、課税時期を遅らせる
間接経費のキャッシュフロー改善施策
通信費
- (A)電話は電子メールで代替する。費用低減に加えて「正確に伝達できる」「忘れても履歴を再確認できる」というメリットがある。
旅費・交通費
- (D)Suicaをオートチャージ1万円設定にし、VIEW’s NETでボーナス一括払いに変更する(他経費の支払にも利用可能)
専門家報酬
- (B)クラウド会計を利用。ネットバンキングやオンラインクレジット明細と連動させて税理士への委託範囲を削減できる。
送金手数料
- (C)銀行の取捨選択により送金手数料を下げる。一定回数無料のサービスや割安の銀行が存在する。1回あたりは数百円でも積もり積もれば大きな差とになる。
事故発生時の負担回避
滞納および夜逃げ発生時の機会損失
- (E)リスク遮断のため、入居時に賃貸保証プランの加入を義務付ける
原状回復費用の不払発生時の肩代り負担
- (E)リスク遮断のため、入居時に「原状回復費用」をカバーする賃貸保証プランの加入を義務付ける
不測の事故による施設賠償責任
- (E)リスク遮断のため、施設賠償責任保険に加入する
税金および社会保険料のキャッシュフロー改善施策
法人税・事業税等
- (B)小規模企業共済[Link]の掛金(最大年額84万円)を所得控除し、貸付制度で手元に戻して活用する
所得税(法人からの給与)
- (B)「給与所得控除」を活用して課税標準を下げる
- (B)生命保険料控除を活用し、契約者貸付制度で手元に戻して活用する
- (C)給与額を、所得税等の税率が法人税等よりも低くなるように設定する
- (D)クレジットカード払いを選択して支払時期を遅らせる[関連記事]
所得税(個人事業主)
- (B)小規模企業共済[Link]の掛金(最大年額84万円)を所得控除し、貸付制度で手元に戻して活用する
- (B)生命保険料控除を活用し、契約者貸付制度で手元に戻して活用する
- (C)土地および建物を6回以上正月を迎えたのちに売却し、低税率の「長期譲渡所得」として申告
- (C)早期転売する場合は法人を主体にし、高税率の「短期譲渡所得」を回避する
- (D)クレジットカード払いを選択して支払時期を遅らせる[関連記事]
個人住民税
- (B)ふるさと納税で実質賦課額を減らす[関連記事]
- (B)小規模企業共済[Link]の掛金(最大年額84万円)を所得控除し、貸付制度で手元に戻して活用する(個人事業の場合)
- (B)生命保険料控除を活用し、契約者貸付制度で手元に戻して活用する
- (D)口座振替(4回分割)を選択して支払時期を遅らせる
健康保険料・年金保険料
- (B)法人からの給与支払を低く抑えて賦課額を減らす(個人事業所得、配当所得、譲渡所得等で家計をまかなえる場合のみ)
まとめ
あなたは全部実施していましたか?
モレを発見したら、早速改善に動いてみてはいかがでしょうか。