2018年3月12日の「江崎道朗のネットブリーフィング」で、国防の観点から重要な土地が敵対的な外国勢力によって買収されている問題を取り上げていました。

なぜ問題ある取引を防げないのか

直接的な答えは、不適切な取引を制限する法律がないことです。
WTOのルールで外国人を同列に扱わねばならない規定があることにも配慮せねばならないようです。

解決へのアプローチ

この問題は、以下の2ステップで解決可能であり、心ある国会議員の方々が動いてくれているとのことです。

  1. 土地の所有権移転を政府が把握する仕組みを整備する
  2. 不適切な土地の所有権移転に制限をかける法律を制定する(アメリカには安全保障の観点から売買を差し止める法律があるようです)

まずは所有者不明土地の解消

日本では残念なことに所有権移転の把握(上記の項目1)ができていないようであり、まずここから取り組まねばなりません。
登記義務がないことに加え、政府保有の各種データが共有なされていないために特定できない状況が続いていたようです。

各種データを活用すべく法改正がなされた後の2016年に実施された地籍調査(サンプル調査)によると、「所有者不明土地」が非常に多く、国土面積の20%超にのぼるようです。
背景としてはバブル崩壊後に土地価格が下落して土地が「負債」となり、場合によっては相続放棄される事例が増えたこと等があるようです。

現在の政権下でも徐々に所有者が誰なのかを特定する調査が進んでいるようであり、3月9日には土地の所有者を確定する「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法案」が閣議決定されました。

次に移転制限の立法

こうして、所有権のデータベースを整備した後に、移転制限の立法が行われるでしょう。

国民への示唆

国家安全保障が崩れれば多大な不利益を被るのは国民です。
こうした心ある議員の仕事を全力で支援したいものです。

また、これらの所有者不明不動産は犯罪の温床にもなりますから、所有者が確定すること自体、住民にとっては利益があると思います。
事業者が取得して開発されるのも良いですし、公有地となって公園や公共施設になるのもまた良いことだと思います。

不動産事業者への示唆

記者も所有者不明の空き家問題に悩まされています。
所有者不明の空き地や空き家が競売により所有権確定するのであれば事業者にとって良い機会になり得ると思います。

参考文献

この問題を学ぶ出発点として、宮本雅史さんの「爆買いされる日本の領土」が有益だと紹介されています。