本稿では大家の会のメリットと留意点を論じ、東京都内で開催される会について記載します。

大家の会に参加するメリットと留意点

同業者と情報交換ができる

不動産賃貸業の取引業者(金融機関や仲介会社、ガス会社など)は無数にありますから、情報収集を網羅的に行うことはなかなか難しいものです。あなたが知らない業者が良い商品を提供してくれるかも知れません。

不動産仲介会社は物件の提案をしてくれますが、たいてい決まった金融機関を前提とした商品を勧めてきます。管理会社は懇意のリフォーム業者やガス会社を勧めてきます。このため、通常は自力で開拓しないかぎり、なかなか取引先の候補に詳しくなれません。

そこで、大家の会です。大家同士は同業ですが、通常は競合しておらず(アパートが隣同士であれば競合していることになりますが、そういう人とは出会う確率は極めて低いです)、利害関係がありません。そのため、「自分はこんな金融機関を開拓できた」「こうやって物件を仕入れる」「このガス会社はいい」「こうやって空室を埋める」などの情報を交換できる場合があるのです。

別の大家さんをおすすめの業者に紹介すれば、大家さんだけでなく業者も喜んでくれるわけですから、有意義なコミュニケーションとなるでしょう。

交流ができる

大家業はあまり人に会わずにできる事業です。これは良い点でもあるのですが、特に専業大家さんはコミュニケーション不足になってしまう場合があります。「一日中誰とも話さなかった」ということもよく起きるでしょう。

そこで、大家の会です。上述の通り、利害関係がなく、共通の事業である賃貸経営について話しながら仲良くなれる大家の会は、ちょうどよい機会なのです。

アドバイスを受けられることがある

大家さんデビューしたいサラリーマンにとっては、先輩大家さんのアドバイスをもらえる点も魅力です。前述の通り、大家さん同士は基本的に競合していませんから、あなたが大家さんデビューしても他の大家さんに損失を与えることはありません。むしろ、お互いの成功を喜び合う方がほとんどです。

ただし、利害関係がないだけに、会で出会った人と時間をともにするのもしないのも、すべてはお互いが選択するのです。それぞれ感情をもった人間ですから、くれぐれも礼儀をわきまえ、横柄な態度は慎みましょう。

大家の会の留意点

大家同士、同じ賃貸業の経営者ではあるのですが、大きな断絶があるように感じています。それは、一代で事業を立ち上げた人と、相続で経営している人の間の断絶です。事業開始の経緯から、これまでの経験、今後の方針に至るまで、何から何まで違いますからあまり話が合わないかも知れません。同じ志向の方を選んで交流するのがお互いにとってプラスではないでしょうか。

大家が主催する勉強会・交流会

内本塾

内本智子さんが主催している勉強会です。内本さんは「夫にナイショで」「夫に頼らず」のキャッチフレーズで著作や講演をされています。毎月、勉強会を開催しています。主催者が女性ということもあって女性比率が高くなっています。

行動する大家さんの会

「行動する大家さんの会」は、ただ受身の姿勢で知識を得るだけでなく、実際にその知識を使って行動する大家さんになるための会です。勉強会は不定期で、直近では2018年4月に開催されました。

東京調布大家の会

会合は調布市で行われますが、調布市以外の方も参加可能です。直近では2019年2月に勉強会が予定されています。

東京築古組

組員は自主的な勉強会を年に一回開催する義務があり、発表しないと退会になってしまうという厳格な規定があるようです。

ふどうさんぽ

この会だけは「サークル」と位置づけていて興味深いです。月に2回の交流会を開催しています。

関連事業者が主催する勉強会・交流会

ここでは個別の名前は挙げませんが、収益物件を得意とする不動産会社がパーティーを開催しています。担当者と仲良くなれば物件を回してもらえる可能性がありますし、業界の裏事情を聞けることもあるかと思われ、メリットがあると思います。

ただ気をつけたいのは、不動産会社は仲介手数料(または売却益)が狙いですから、100%買主側の立場に立ってくれることは期待できません。このため、流されやすい方、NOと言えない方については、こうした会よりも大家の会の方をおすすめします。