本稿では、不動産再生賃貸業で起業する意義を考察します。
筆者は当初、たまたま思いつきで不動産再生賃貸業を選びましたが、経験を積むにつれ、素晴らしい事業を選んだと思うようになりました。
社会貢献を実感できる
この事業は、社会貢献の余地が大きいです。
地域住民の実質所得を上げる
物件を比較対象のうちの最安値で賃貸することで、該当地域の住民のみなさんの実質的な所得を高めることができると考えています。
これを実現する方法は多数ありますが、以下に例をあげてみます。
- 購入価格を低く抑える。空室の多い物件やリフォームを要する物件のリスクを負う場合や、任意売却など短時間での決済を求められる場合があります。
- 資金調達で差別化する。低金利または長期間の借入で資金調達した場合、価格を下げても健全経営ができます。
- 運営経費を下げる。修繕費や水道光熱費を下げたり、事務作業の負荷を軽減します。また、集合インターネットは、入居者が個別にネット加入する場合よりも大幅に負担を軽減することができます。
環境にやさしい
日本では、住宅数が世帯数を上回る状況が続いています。貸家建付地に対しては固定資産税が優遇される制度があり、アパート業者がこれを営業トークで活用するため、必要以上にアパートが建設されるという歪みが発生しています。
我々、再生事業者が魅力的な中古住宅を提供することで、新築よりも圧倒的な低価格で住宅を提供できるため、新築の建てすぎを抑止できると考えています。
経済の活性化に貢献できる
近年の日本では、デフレ脱却のため、大幅な金融緩和が行われています。しかし、資金の借り手が不足していて、金融緩和の効果として期待される信用創造が必ずしも拡大していません。
こうした経済環境の中にあって、借入を活用して投資を行う経営者の存在が、マクロ経済を活性化するキーになります。
また、不動産の効率運営を実現させることで、日本社会の全体的な生産性を高めることに寄与していると考えています。
最初の起業として適切である
また事業家にとってのメリットも大きい事業です。
サラリーマンの副業禁止規定にひっかからない
不動産賃貸業を個人名義で始める場合、会社の就業規定に抵触することはまずありません。就業規定で不動産の保有や相続を禁じることは明らかに財産権の侵害であって許されませんから、禁止のしようがありません。
ただし、法人での開業は問題となる場合もあるかも知れません。多くの就業規定では「当社以外の法人の役員または職員となってはならない」との記載があるためです。この問題の対策として、配偶者や親などを代表取締役にする方法があります。融資を受ける際は自分が連帯保証人になればよいです。借りたいあなたにとっては就業規定をクリアでき、貸したい銀行にとっては債権を保全できるため両者にとって望ましい形にできます。
経営者の業務負荷を極小化できるため1人で経営できる
不動産賃貸業は、全国各地で行われている古い事業であるため、仕組みが整っています。例えば、建物管理・修繕などのリフォーム工事・賃貸募集・契約締結・井戸の水質検査・浄化槽清掃などを受託してくれる業者が全国各地に存在し、大家自身が現地で手をくだす必要がない状態となっています。
開始当初から収益が上がる
すでに稼働して売上がたっている中古アパート・マンションを取得することにより、事業開始当初から定期的な売上が見込めます。
これに対し、一般的な起業はどうでしょうか。最初の顧客を獲得するまでの準備期間は収益がありません。このため、貯金を切り崩しながら生活する、以前の勤務先から仕事をもらって受託で食いつなぐ、といった例が非常に多いです。
事業として一定の魅力がある
堅実な収益性を実現できる
不動産賃貸業は、(ボロ儲けはできませんが)一定の利益を確保しやすいです。これは、不動産賃貸業が「知る人ぞ知る、やる人ぞやる」事業だからです。
理由は第一に、借入を起こすことに対する心理的抵抗があります。第二に、この事業は古くからある地味な事業で、「先端的」「知能レベルが高い」「リア充」などの要素がありません。第三に、日本では人口減少しているため、住宅の賃貸業に悲観的な人が多いことです。このため誰もが殺到するような人気事業ではなく、過当競争にはなりません。
財務的レバレッジを活用できる
不動産賃貸業においては、借入を活用すれば自己資金の数倍の資産を取得できます。これはこの事業の極めて重要なメリットです。
一般の事業性融資は審査が厳しく、零細企業がまとまった金額を借りることは難しいのですが、不動産賃貸業の場合はなぜ借り入れがしやすいのでしょうか。それは、購入する不動産(または他の不動産)を担保提供できるからです。これにより銀行が債権を保全しやすくなり(返済できなければ不動産を競売等で売却すればよい)、借入の承認を得やすくなります。
多角化が容易
上記の特長がある不動産賃貸業ですから、生活に要する固定費を確保しながら、他事業(多角化)の事業計画を策定する時間的余裕をも生み出すことができます。
まとめ
我こそはと思う方は、ぜひ、不動産事業に参入してみてください。
ただし、そもそも事業は厳しい現実との対話であり、事業家は失敗しても全責任を自分で負う覚悟が必要です。失敗して「仲介業者のせいだ、銀行のせいだ」と騒ぐ情けない人々が跡を絶ちませんが、これらは事業者失格の悪い例ですからマネをしないでください。