筆者は不動産投資家であり、かつ宅建士の免許を保有していますが、現時点で宅建業登録はしていません。選択肢として検討してはいるものの、まだ結論が出ていないため保留にしているのです。

そこで、本稿では宅建業登録のメリット・デメリットを整理します。

宅建業登録のメリット

仲介・分譲等で収益の幅を拡大できる

宅建業者になる直接的なメリットは仲介業務や継続的な転売や分譲ができることです。仲介業務は負債を負うことなく手数料収入を得ることができ、オーナー業とは違った特性を有します。転売や分譲は、借入をしたとしても短期で返済できますので、資本効率の極めて高い事業展開が可能となる場合があります。

富裕層を含む顧客基盤を拡大できる

また、仲介業務を通して顧客とのつながりを構築できます。特に、売買仲介の顧客は不動産の売主または買主であり、地主や企業家など富裕層の比率が高い傾向があります。こうしたつながりの中から新たな事業機会を見つけられることもあるでしょう。

宅建業登録のデメリット

登録時にまとまった費用がかかる

デメリットは多くの費用がかかることです。保証協会加入費用約150-180万円(保証金分担金60万円を含む)または営業保証金1,000万円です。また、これとは別に要件を満たす事務所を用意するため契約金や賃料、内装費がかかります。なお、宅建業の登録を廃止した場合、保証協会加入時の費用は、一部しか戻らないようです。

業法の規制対象となり責任が重くなる

また、宅建業者は宅建業法の規定により影響を受けます。瑕疵担保免責特約の取扱に注意しましょう。

売主としては、一般の買主に対して瑕疵担保免責特約付での売却ができなくなります。このため、特に中古建物の売主になる場合に、瑕疵担保責任の負担が増えて少し不利になります。

買主としては、売主が宅建業者であった場合にも、瑕疵担保免責特約の無効を主張できなくなります。

結論は一概には言えない

上記のメリット・デメリットを勘案して、メリットが上回ると判断した場合には開業することを選ぶべきでしょう。