賃借人が生活保護受給者だと安心、という話を聞く事があります。
その理由は、市区町村が直接賃料を家主または管理会社に支払う形をとれば滞納を抑止できるからです。

しかし、私の経験からは、リスクもあります。
本稿では、生活保護受給者を賃借人とするリスクについて考察します。

問題のある入居者の比率が高い

就労できない理由は様々

生保の受給者は、例えば以下のような事情があります。

  • 身体または精神の障害で就労不能
  • 高齢で身体的事情から就労不能

ですが、以下のような方々も含まてしまいます

  • 「精神疾患」で就労不能ということにしている
  • 本来は要件に該当しないが斡旋団体の支援で受給している

財産がない理由も様々

たとえ就労不能でも財産があれば生活保護受給者にはなりません。受給者に財産がない理由は、以下のようなものでしょう。

  • 障害があり、そもそも稼ぐことができない
  • 療養等で使い果たした
  • 浪費癖のため、貯金がない

最後のパターンの方が意外に多い、というのが賃貸人としての実感です。

発生するリスクの実例

上記のような事情により、問題のある方がやや高い比率で混入しているようです。

私の場合は、酔っ払った賃借人(受給者)によって、建物に火をつけられました。幸いボヤで鎮火して建物の修繕費は保険がおりましたが、非常に恐ろしい経験でした。

建物の火災保険は絶対に掛けるべきだと思います。

住宅扶助の送金は途切れることがある

長期入院時には扶助が途切れる

入院生活保護受給者の世帯員全員が入院おり、その入院期間が6ヶ月を超えて、3ヶ月以内に退院見込みがない場合、住宅扶助の支給がなくなります。なお、3ヶ月以内に退院する見込みがある場合は最長3ヶ月間住宅扶助の支給が延長されます。(退去時の家財処分費用については「家財処分料」として実費が支給される仕組みのようです。)

このように長期入院となった場合は、一般には節約のため退去となることが多いかと思います。
ですが、保護受給者は自分の財布が痛まない事情がありますし、滞納に関する罪悪感が欠けた方もいます。「そのうち戻るから」「家を引き払いたくない」という希望から賃貸借契約を解約しない場合もあるのです。こうした場合、突然に滞納リスクが発生します。

受給者が勝手に受取方法を変更してしまう

また、受給者が勝手に受取方法を変更してしまうこともあります。筆者の経験した事例では、保護受給者が「年金で払うから」と主張して一旦、受給を打ち切ってしまいました。ですが、その後、「本人支給」で住宅扶助の再受給を開始し、それを使い込んでしまって、長期滞納者となったのです。

この事例では、悪いことに、「自治体からの直接送金だから」と安心してしまい、保証会社の加入を免除していました。この結果、明渡訴訟を経て、強制執行をかけることになってしまいました。もちろん保護受給者に資力はありませんから、延滞賃料・内容証明郵便代金・訴訟費用・残置物撤去費用・原状回復費用などすべて回収不能です。ほんとうにひどい目に遭いました。

こうしたことも考えて、生活保護受給者の場合も、賃貸保証会社との契約を必須にすべきだと私は考えます。

まとめ:賃貸保証会社への加入が必須!

「生活保護だから安心」という単純な問題ではありません。
火災保険や賃貸保証などのリスク管理を怠らないようにしましょう。